photo by TAKUYA NAGATA
音楽で食っていきたいと考えたことありませんか?
もしくは今まさに考えてる!!って人も中にはいるかもしれません。
だけど、
歌は歌えるけど曲作りできる自信がない…
楽器を上手に弾ける自信がない…
そんな不安を感じることもあるかもしれません。
では実際に音楽活動している人ってどのように曲を作って、どんな想いで活動しているのだろう…
今回はこれから絶対に活躍するであろうバンド「レトロリロン」のボーカル涼音さんにインタビュー!
音楽に対する想いや曲作りのノウハウを聞いたところ、やりたいことをやって生きていくためのヒントが見えてきました。
涼音
バンド「レトロリロン」のボーカル。高校生の頃にシンガーソングライターとしてライブハウスを中心に音楽活動を開始。2020年に大学時代のメンバーと「レトロリロン」を結成。メンバーの多種多様な音楽性によって生まれるジャンルレスなサウンドと”明日”ではなく”今日”を生きようという歌詞が混ざり合い心震わせる、今注目のポップスバンド。
まずはこの動画の再生ボタンをクリックしてみてください。 一声聞いただけで涼音さんが素敵なアーティストだということはおわかりいただけるはず。 レトロリロンの音楽を楽しみながら記事を進めていきましょう!!
目次
歌詞もメロディも最初に作らない。まずは…

今回は涼音さんの古参代表として音楽に対する考え方や曲作りに関して根掘り葉掘り聞いていきたいです。

古参代表…
そうですね(笑)
よろしくお願いします。

まず、レトロリロンの曲ってめちゃくちゃオシャレだし、歌詞も心に響くし…
ってところで曲作りについて教えて欲しいです。
一番最初は何からやるんですか?

僕の場合はコードから考えます。

コードからですか。

コードから考えるのが一番作りやすいんですよ。
初めて曲を作る人とかは特にコードから考えるのがおすすめです。

メロディから考えるとそのメロディに合うコードを当てなきゃいけないんですよ。
そうするとコードの知識がある程度ないとどんなコードをつけたらいいかわからないという壁にぶつかって曲作り難しいなってなっちゃうんですよね。

なるほど。

だから最初にコード進行を決めちゃって、そこに不協和音にならないように鼻歌とかでメロディをつけていった方が早いんです。

そうなんですね。
プロでもそういう作り方の人は多いですか?

結構いると思いますよ。
コードの勉強さえすれば曲作れるかも…?

歌詞とメロディはどっちから考えることが多いですか?

僕は同時に考えます。

同時なんですか!

最後は一つの曲になるから切り離して考えたくないんです。
歌詞だけを先に考えると歌詞によってメロディが制約されてしまうので自由度が下がっちゃうんですよ。

歌詞にハマるようなメロディにしないといけないから…?

そうですね。
だから同時に作ってて、メロディにハマらない言葉だったら類語を探して、類語が見つからなかったらメロディを変えたりみたいな感じで進めていきます。

なるほど…
じゃあ歌詞のストックとかってないんですか?

ないです。
歌詞ノートみたいなものとかも僕はなくて…
思いついた歌詞をノートに書き溜めておくみたいなイメージがあった…

やっぱり今の気持ちを表現したいっていうのがあるのでストックを作るってことはないです。

常に最新の曲を作っていくんだ…

でも過去の没作品を蘇らせることはたまにあります。
当時はうまく作れなかったけど今のスキルならもっとうまく作れるんじゃないかってものをリメイクしたり。

それいいですね!

だから1回没になっても完全にダメなわけじゃなくて、必要なタイミングで蘇る時もあるから面白いです。

確かに!
その過去に書いた歌詞の内容は今でも当てはまるなってなりますか?

いや、それはあんまりなくて。
やっぱり幼いなって感じることも多いですね。

やっぱそうなんですね。

未熟だったなって思うんですけど、それが逆に良くて採用することもあります。
高校時代とかの未熟さって今じゃ書けないし。

確かに。

そういうのは大事に使わせてもらいます。
昔の自分と相談したりしながら(笑)
過去の自分と対話する涼音さん

昔の自分に「ちょっとこれは黒歴史だからやめて」って言われたら「わかった。お前のことは俺が守るからな」って言って奥底にしまいます。

かっこいい(笑)
涼音さんは曲作りするときは理論派ですか?
それとも感覚派?

僕は感覚派ですね。
音大に行ってたから理論も学びはしたんですけど、最初は感覚でした。
コードとかも勉強したってより自分で弾きながら見つけていきました。

自分でコードを??

ギター弾いてて、この押さえ方したらいい響きだなって感じで。
今思うと恥ずかしい話なんですけど、ものすごく綺麗な和音を見つけてこれ奇跡の発見だ!天才だ!って思ったことがあったんですけどEコードという教本の1ページ目とかにあるコードで(笑)
全然奇跡の発見じゃなかったんです。
誰も知らないコードを発見したかと思ったが違った

いや、でも自分で弾きながら教本に載ってるようなコード見つけるってすごいですよ(笑)

まあこんな感じで僕はあんまり座学が好きじゃなかったんで感覚で音楽作ってますけど、人にもよると思うし自分に合うやり方を見つけるのが一番だと思います。
理論で作ろうが感覚で作ろうが最終的にできたものがかっこよければなんでもいいかなって。

聴いてる側からしたらどっちで作ってるかわからないですもんね。

そうです。
だから曲作る上で絶対に必要なスキルとか知識ってないと思ってて、それぞれが自分にあうものを見つければいいと思います。
マイケルジャクソンだって鼻歌だけで曲作ってましたし。

自分に合うやり方が見つかるまで色々試してみても良さそうですね。
背景にあるメッセージ「今日を頑張って生きよう」

先ほどテクニック的な部分でお話いただきましたが、曲を作る上でのマインド面ではどうですか?
どんな想いで曲を作ってます?

「明日じゃなくて今日をなんとか頑張って生きていこう」って思えるような音楽を届けたいというのがありますね。
今、この瞬間から頑張ろう

僕はどんなに明日いいことがあるって言われても今日しんどかったらきついと思うんですよ。

たしかに…

だから今をなんとか頑張れるような音楽にしたいなと思ってて。
僕らの音楽って必ずしも毎日聴いてくれなくてもいいんですよ。

流行っててずっと聴いてるっていうよりは寂しい時とかしんどい時とか、僕らの音楽が必要なタイミングでその人が聴こうって思えるような曲を作り続けたいなと思ってます。

なるほどな…
僕はレトロリロンの曲は夜に聴くことが多いんですよね。

ありがとうございます。
僕の中でも朝とか昼より夜のイメージで作ってます。
というのも自分が悩んだり考え事をするのって夜のことが多くて。
つい考え事をして眠れなくなってしまう夜とかありますよね

結局自分に向けて書いてるところもあるんです。
苦労して、悩んでしんどい時のことを記録として残してるみたいな。

それがリアルな悩みだからぐさっと刺さる歌詞になってるんですね。

そうですね。
伝わっているのは嬉しいです。
音楽やっててもやってなくても人間としての普遍的な悩みみたいなものはみんな抱えてますしね。

そういう苦労とかしんどい気持ちっていうのは音楽やる上で一番大事にしている部分ですね。

今すぐに曲聴きたくなってきました(笑)

ありがとうございます(笑)
僕もどんなに売れても変わらない悩みってつきまとうと思うんですよ。
例えば背が低いとかって音楽でどんだけ売れても解消されることない悩みですし。
どんな成功者も全ての悩みやコンプレックスはなくならない

でも背が低くても、そんなにかっこよくなくてもメガネでも、音楽できるんだってところをみて「それなら自分にもできるかもしれない」って思ってもらえたら嬉しいですね。

曲からも、音楽活動で頑張ってる姿からも勇気を与えられるアーティストですね。
「やる」か「やらないか」の二択では迷わない

涼音さんは高校生の頃からライブハウスで歌ってたそうですが、音楽で生きていくって決意したのはいつ頃ですか?

決意したのは大学3年生の時ですね。
周りが就活を始め出した頃…
音大でも一般企業に就職する人は多いんだとか

周りが就活してる時って不安とか焦りみたいなのはありましたか?

焦りはありましたね。
卒業してどうやって生きていこうっていうところで…

不安はありますよね。

でもここまで長く続けてきた音楽を趣味に落として新しい職業に就くってことは考えられなかったんですよね。

では就職するか音楽活動をするかの二択で悩むことはなかったんですね。

そうですね。
それより、音楽を職業にするにはどうしたらいいかをもっと真剣に考えないといけないと思ったんですよね。

だから音楽だけじゃくてビジネスサイドにも足を突っ込んでみたりもしました。
音楽で生きていくには音楽の知識だけじゃダメだと思って。

なるほど…
たしかにどれだけかっこいい曲作れても売り込めないとダメですもんね。

はい。
だからブランディングとかマーケティングとかそういうことも勉強しようと思って、周りが就活をしてる時に勉強したりしました。
カリスマ性だけで売れる時代じゃない

あとは自分とは違うことをやってる人がどう生きているのかも知らないといけないと思いました。
自分の音楽を届ける相手って必ずしも音楽をやってる人ではないので。

たしかに。

こんな感じで音楽で生きていくために具体的に何をするかってことを考えているうちに自然と音楽をやらないという選択肢は消えていきました。

なるほど。
やる・やらないの二択でじっくり悩まずにやる方向でどうしたらいいのか考えると…

実際、やりたいのにやるかやらないかの選択肢で迷うのってちょっと変じゃないですか。
お水飲みたいなって思った時に飲むか飲まないか悩みます?笑

それは…悩まないです!笑

「やる」の対極にあるのが「やらない」だから引き合いに出して悩んじゃってるだけで本当は「やる」の一択なんじゃないかなと思うんです。
でも悩むのは「やる」を選んだ時のリスクを考えるからで…

たしかに。

だからそのリスクとか不安をどうしたらなくせるのかってことを考えればいいんじゃないかと思います。
リスクを考えるのは大事だけどそれだけでやらない選択肢を取るのは早いのかも

やりたいと思ったならやるためにどうするかを考えて行動してみる…
そうするときっと苦労するだろうししんどいこともあるだろうけど乗り越えたら自分がやりたいと思ってたことを実現できると僕は信じてます。

そうですね。
それでしんどいときにレトロリロンの曲を聴いて「今日を頑張ろう」って奮い立たせるのがいいのかも。

そうなってもらえると最高ですね。

涼音さんの音楽に対する考え方だけではなくて生きる上で、挑戦する上で大事な考え方が聞けました。
よく「やりたいならやればいいじゃん」という言葉を聞いて、「そんな無責任な…」と思ってしまっていましたがその言葉は「やるために何をしたらいいか考えて行動しなさい」ということだったのかなと、涼音さんの話を聞いて思いました。
リスクばっか考えて悩まずにどうしたら実現できるかというところに目を向けて生きていきたいなと思います。
近い将来、絶対に売れるバンドになるはずですのでこの記事は大変貴重なものになります。
この記事を読んだあなたも立派な古参。
これを機にレトロリロンの沼にハマってみてください。