SNSの発展によって誰もが自分を発信できる時代。
影響力のある人になりたいと思う一方で、SNSを伸ばす自信がない、勇気が出ないとためらってしまうこともありますよね。
今回は役者でYouTuberの渡邉聖斗さんにSNSを活用することのメリットや心構えについてお聞きしました。
渡邉 聖斗(わたなべ まさと)
役者。YouTuber。小学3年生の頃に芸能界デビュー。映画やCMのみならず、「天才てれびくんMAX」など教育番組にも出演経験がある。 演劇を学ぶために所属していた事務所を辞め、海外の大学に進学。4年間アメリカのカリフォルニア大学で演劇を学び、現在はフリーで役者をしながらYouTubeで文学史や英語に関しての発信をしている。Twitterはこちら。
目次
YouTubeをやってるから〇〇してみよう
SNSを「見る側」として利用している人は多いですが、いざ発信しようとなるとちょっと勇気がいると思うんです。
聖斗さんは4年ほど前からYouTubeをやってらっしゃいますが、始めるにあたってためらいはなかったんでしょうか?
そうですね。
なかなか一歩踏み出せないって気持ち、実はすごくわかるんですよ。
そうなんですか? ちょっと意外です。
なんなら僕、最初はYouTubeをちょっとバカにしていました。
「映像とか詳しくない人がそんなのやっちゃって」みたいな…
辛辣…!笑
でも4〜5年前ならそう思う人は多かったですよね。
そこからなぜYouTubeを始めたんですか?
台湾の大学に留学していた友達と、雑誌社で働いていた友達に誘われたのがきっかけです。
当時、僕はアメリカの大学で演劇を学んでいたんですけど、「アメリカで演劇を学習してるって稀だし、知識のハードディスクとして記録した方がいいよ」って言われて。
聖斗さんの大学はUCSD。
演劇学部に入学したのは日本人初だったそう。
貴重な経験を記録するためのYouTubeだったんですね。
そうですね。
友人たちは編集の勉強がしたかったみたいで、編集は全部やってくれるっていうし、それならやってもいいかな〜と思って始めました。
僕だけなら絶対はじめてなかったと思います。
YouTubeをはじめてみた結果、何か変わりました?
常に「なんか動画で話せることないかな」って考えて過ごすようになりましたね。
そうすると気づくことが増える、増える!!
嬉しそう
発信する前提があるってすごくいいことだと思うんですよね。
発信するから責任を持とうとか、より具現化できるようにしておこうとか、中途半端な言葉にしないでおこうとか…
そういうところまで考えられるようになるんですよ。
たしかに今まで気にしていなかったことも、ちゃんと調べるようにしたりとか…
そうです。
それからYouTubeをやっているからせっかくだしこれもやってみようという選択も増えましたね。
たとえば何かありましたか?
僕、英検1級を取ったんですけど、これYouTubeのおかげなんですよ。
そうなんですか…?!
はい。
アメリカの大学にいたときなんですけど、受かる自信が全くなかったんですよね。
朝の9時から夜中23時半まで大学の講義がありましたし、休みは日曜日しかないんですよ。
だから受かるわけないと思ってたんです。
想像以上に多忙だった…
でもYouTubeをやってるから「アメリカで英検1級受けてみた」って動画を撮りたいじゃないですか。
動画の企画のために受けたんですね。
そしてそれで受かったってことですよね?
そうなんですよ。
動画にしようと思ってなかったら「受かるわけない」と思って受けていなかった英検1級に合格できたんです。
そのチャンネルはなくなっちゃったのでもう動画はないですけど、もちろんデータは残ってますし、資格として英検1級はあるわけだし。
実は著作権の関係で登録者5万人までいったチャンネルがバンされている聖斗さん。
YouTubeが挑戦するきっかけになったんですよね。
そういう意味では、SNSってそれを使って社会に革命を起こす前に、自分に革命を起こせるものだなと思いました。
合わないツールは無理に続けなくてもいい
SNSで革命を起こせると話しましたが、向き・不向きはあると思うんですよね。
聖斗さんも合わないと感じたSNSがあるんですか?
TikTokは僕には合わなかったですね。
YouTubeのチャンネルが使えなくなった時に、一時期やってたんですよ。
でも僕のコンテンツってすごく長くて細かい解説を重要視してたのでTikTokにはあまり向いていなかったなと思います。
向き不向きがあるから、TwitterがダメでもInstagramは得意かもしれない。
その逆もありますよね。
これもできなかったからあれもできないというふうに考える必要は全くないと思います。
なるほど。
何か一つ合わなかったからといってSNS向いてないと考える必要はないんですね。
そうですね。
これは合わなかったんだなと思えるだけの量はやった上で「やらない」という決断をしたほうがいいとは思います。
合わないだろうなという憶測じゃなくてやってみて判断したほうがいいんですね。
じゃないと何でもかんでも合わないと思ってやらなくなってしまうので…
結果が出ないことを合わないというふうに考えるのも違うと思いますし。
たしかにそうですよね。
合わないという判断はどうやってするべきだと思いますか?
やっぱりそれぞれのSNSの特性を理解することですかね。
例えばYouTubeは一方的に視聴者に対して長く話せるという特性があって…
僕みたいな性格には一番いい訳ですよ(笑)
おしゃべりが大好きな聖斗さん
TikTokは長くはないけど1分間の全ての瞬間を魅力的に映すというものですよね。
Twitterは限られた文字数の中で読んでて面白いとか共感できるようなコンテンツだし、Instagramはおしゃれさなもの、フォトジェニックなものが鍵になるし…
その特性を理解した上で、自分に合っているかどうかを判断できるといいと思います。
こうやって聞くとたしかに全然特性が違いますね。
まずはやってみて改めて特性を理解した上で、自分に合うかどうかを判断するのが大事ですね。
人を巻き込める自分勝手さ
SNSって継続する大変さもあると思うんです。
どうしたら継続していけると思いますか?
人をどれだけ巻き込めるかということかなと思います。
人を巻き込むことで継続できるということですか?
そうですね。
個人で何かをやることの難しさって責任感と義務感の欠如にあると思うんですよ。
責任感と義務感…
いざというときに、いろんな理由をでっち上げて辞めることができる訳じゃないですか。
そうですね…
自分だけだとどうしても自分を甘やかしてしまいがちです。
だから人を巻き込むことは大事で…
そして巻き込むことができる自分勝手さがある程度あったほうがいいと思います。
自分勝手さですか?
例えば僕は後輩を捕まえて「お前バイトやってるならやめて全部の時間をこれに費やしてくれない?俺のために」とか言えちゃうんです。
めちゃくちゃ自分勝手なんですよ。
突如現れた、オレ様系聖斗さん
ちょっと強引なところがあったほうがいいという訳ですね。
そうです。
でもこれが単なる自分勝手じゃダメで、相手の人生を躊躇なく奪って相手が納得してくれるぐらいの努力量で変換するっていうのが大事だと思ってます。
自分勝手さもあるけどその分責任もしっかり持つことが大事ですね。
でもそこには信頼関係がないと難しいと思うんですが、信頼関係を築くコツとかってありますか?
それがなかなか難しいところですよね。
例えば一緒にYouTubeをやっていくってなったときにはお金以外の部分でどう責任を持つかってところを考えないといけないと思います。
最初からお金がある状態でスタートできる訳ではないですから、当然みんなが我慢して努力しないといけない時期があります。
そうですよね。
そういう時期に、お金以外の部分で信頼を得ることは必要だと思います。
「この人と一緒にやったら勉強になる」とか「この人となら歴史を変えられる」とか…
やりがいを相手に感じてもらうことが信頼につながるかなと思います。
「この人と一緒なら…」っていうふうに思われるためにもビジョンが自分の中でしっかりあったほうがいいかもしれないですね。
そうですね。
ビジョンは大事だと思います。
ここ数年で急激に浸透したSNS。
誹謗中傷などの悪いニュースを耳にすることもありますが、使い方を間違えなければとても魅力的なものなんだと改めて感じました。
発信することを前提に生活していると、これまで挑戦できなかったことに挑戦できたり、新しい自分の魅力が見つかったり…
勇気を出してSNSでの発信をしてみようかなと思えるインタビューとなりました。
また個の時代なんて言われてたりもしますが、やっぱりSNSをやる上でも人を巻き込むことは大事。
そのためにはノリと勢いも大事ですが、「この人と一緒なら…」と思われるような熱い想いとビジョンが必要なんだと勉強になりました。